どんな映画よりも冒険活劇な「友だちのうちはどこ?」

これこそが冒険活劇だと思った記憶がある。
別に怪獣が出てくるわけでも、勿論CGもない。だが、そこには観る人をワクワクさせる、あるいはどきどきさせる真の映像の力がある。
ただ、友達のノートを家に持って帰ってきてしまった少年が友達の家にまでそのノートを帰しに行こうとするが返せない。というような話だ。
彼に襲い掛かってくるのは、そんな彼の焦る気持ちを知らない普通の人々だ。
大人にとって子供とは道具だった。おそらく、近代まではそうだったのだろう。簡単に子供に物事をいいつける。それも文化だ。
おそらく、この映画が秀逸なのは、この少年の焦りがそのまま伝わってくるからだ。不安が伝わってくるからだ。
友達にノートを返せなくて、しかたなく宿題をやる少年。振り返ると激しい風が家の中に入り込んでくる。そんなシーンがあったように覚えている。その風こそが彼の不安の象徴だ。
高野文子という少女漫画家の「絶対安全剃刀」の中に、どういう経緯だったか忘れたが、先祖のことを思い、一瞬、仏壇に振り返る少女が出てくる。
僕はその少女と、この「友だちのうちはどこ?」の少年が僕の中でシンクロする。

そういえば子供の頃は、なにかと不安だったな。僕のうちにはネズミが沢山いたが、常にネズミがどこから出てくるんじゃないかっていつもビクビクしていた記憶がある。
そんな子供の頃の不安の普遍性がこの映画の普遍性に通じるんだろう。

この映画は1987年作だというが、僕が観たのは90年代に入ってから。場所はユーロスペースだった。

まさむね

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