MAGICAL MYSTERY TOUR

MAGICAL MYSTERY TOUR

TOCP-51124
1967年11月27日発売(米)

●A面は同名タイトルのテレビ映画のサントラ。
●イギリスのBBCで初放送(1967年12月26日)され高視聴率を獲得したが、視聴者、メディアから酷評される。
●このアルバムはもともとアメリカのキャピタルの編集版だった。

芸術的な余りに芸術的な。

マジカルミステリーツアーは、ストーリーじゃなくて、それぞれのシーンを見せる、それぞれの音楽を聴かせるそのための映像の芸術だ。
理解できないところも多いけど、理解なんて必要ないってことを全編で伝えている。当時、BBCで放送された時には酷評を受けたが、後に、MTVの先駆的作品として、伝説となる。このあたりが、ビートルズの偉大なところだよね。時代が後から着いて来るんだもん。

また、アルバムの方も、Hello Good-ByeI am the WarlusStrawberry Fields ForeverPenny Lane愛こそはすべて等、キャラの立った作品群は圧倒的な存在感を示してくれる。

僕はこのアルバムがビートルズのアルバムの中で最も芸術的だと思うよ。

Magical Mystery Tour
★★★☆☆


◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1967/4/25,26,27,5/3,11/7

●映画「Magical Mystery Tour」のタイトルテーマ曲としてポールが作曲。
●三菱自動車のCMに使用されていた。


テレビ映画「Magical Mystery Tour」のテーマ曲としてポールがちゃちゃっと作り、コーラス部分のフレーズをジョンが手伝ったみたいなそんな感じで出来たんだろうな。

ポールの職業作曲家として才能を見せつけるような一曲。車のCMや、よく旅番組のジングルで使われる。
曲のエンディングに不協和音部分が出てくるところがとってもビートルズっぽい。

Glass Onionとか、Cry Baby cryとか、I am the Walrusとか、Strawberry fields foreverとか、Long,long,longとか、ビートルズには不安を残すようなエンディングって多いよね。

そしてこの不気味なエンディングは、これから皆様をお連れするMagical Mystery Tourは夢の世界でしょうか、現実の世界でしょうか、っていう謎へのいざないですな。

ポールが音楽職人としても一流である事を示した曲。

The Fool On The Hill
★★★★☆


◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1967/9/25,26,27,10/20

●リコーダーはポール。
●地動説を唱えて処刑されたガリレオ=ガリレイをイメージしている。


中学の頃、たて笛でこの曲をよく練習したよな。上手く弾けなかったけどね。

映画「Magical Mystery Tour」では、山の上のポールの横顔、鼻が高かったよな。西洋人にはかなわないなって思ったもんだ。

ジョンが後にGlass Onionで丘の上のバカはまだそこに住んでいるよっていうのは、お山の大将になってみんなを仕切るポールへの最高の皮肉なんだろうか。
でも、ジョンとポールの二人は根本的に仲良しだからさ、ジョンの皮肉にも愛情がこもってるんだろうけど(ファンとしては、そう考えないと夢が無い)。

この時期のポールの曲の自然さはまさに天才。ロックというジャンルをはるかに超えたメロディ。

Flying
★☆☆☆☆


◆(Lennon=Maccartney George Ringo) Instrumental 収録日=1967/9/8,28

●ビートルズ唯一のインストゥルメンタルとアーアアーアーアアアー♪のコーラスのみのナンバー。


映画の中では、確か、空の上の映像とシンクロさせて流してたな。TVで初公開したとき、白黒だったんで評判が悪かった。そりゃ、雲の上を白黒映像じゃ面白くないよね。

ビートルズには元々、楽器テクを見せ付けようっていう発想はないんだってことを再認識させる曲。

Blue Jay Way
★★☆☆☆


◆(George) V=George 収録日=1967/9/6,7,10/6

Blue Jay Wayというのは実際のL.A.の地名。
●ジョージがデレク・テイラーを待ちくたびれたという実話をもとにしている。


霧深いロサンゼルスの夜をよく音で表現している。
Within you without you
を作った哲学者ジョージにしては、歌詞の内容が寂しい気もするね。友達を待って待って、朝が来ちゃうよ。早く来てくれよ、ってそれで終わっちゃうんだからね。多分、ポールだったら、ニヤリとさせるような、なんらかのオチをつけただろうに。

しかし、これだけのネタで一曲にしちゃうんだから、なかなかやってこなかったテイラーを本当に許せなかったんだろうな。ジョージ。でも、テーマが超個人的なせいか、ファン受けはしない曲だよね。

音自体に霧がかかったような曲。

Your Mother Should Know
★★★★☆


◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1967/8/22,23,9/16,29

●映画の最後に4人で階段から踊りながらおりてくるシーンで使用された。
●リンゴのハイハットの入り方が面白い。
●ポールの左胸につけたバラの花が黒い。それをして、ポール死亡説の一因とされた。


階段を下りてくるときのジョンの作り笑顔。目が笑ってないのには逆に笑わされたな。
あのシーンの見所は、誰がなんと言ってもジョンの顔だよ。
仕切っているのはポールでも、この画面で一番、花があるのはジョンってことさ。

このアルバム、FlyingBlue Jay WayYour Mother Should Knowって3曲続けて、なんとなく手抜き感がある。特にこの曲、3番は歌詞が出来なかったのか、ダダッダダになっている。多分、時間がなかったんだろうな。でも、曲の方はさすがポール。長調と短調が入り混じるっていうか、明るかったと思ったら暗かったという彼特有のメロディはいいなぁ。

ところで、Sgt.Pepper’s Lonely Hearts Club Bandは、20年前のバンドっていう想定だし、この曲は母親の時代のヒット曲へのオマージュ。亡くなった母親の事を、想っていたんだろうな。この頃(1967年当時)のポール。

でも別の疑問もある。この曲とジョージのIt’s all too much。比較的近い時期に登場したこの2曲に、Your Motherという単語が登場する。ここでいうYourって誰なんだろうっていうのがここでのささやかな疑問。

ポールがボードビル調の曲嫌いのジョンに対して、「昔の曲も悪くないだろう、君のママが生まれる前の曲だよ。」って語りかけてるようにも聞こえる。
一方、It’s all too muchの冒頭のTo your Moはちょっと悪意あるようにも受け取れる。この曲は、「愛、愛ってそりゃもう沢山だ」っていう歌詞だからね。もしかしたら、こっちのMoはその頃、レコーディングにもちょくちょく顔を出すようになっていたヨーコへのあてつけかもね。

機嫌がいい時に階段を降りると思わずこの曲が口をつく。そんな曲。

I Am The Walrus
★★★★★


◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1967/9/5,64,27,28

●歌詞は鏡の国のアリスからのモチーフ(ハンプティダンプティ=エッグマン)。
●最後のリズムは来日したとき、星加ルミ子からもらった日本の民謡の「斉太郎節」からのパクリ。
●エンディングの朗読はシェークスピアのリア王の劇場中継より。


I am the eggman, they are the eggmen
I am the walrus, goo goo g’joob

僕はエッグマン、奴らもエッグマン
僕はセイウチ ググーグジュー

the eggmenっていうのは、顔の無い男ってことでしょ。すなわち、自分の無い男、個性の無い男の事だよね。また、セイウチは鏡の国のアリスからの拝借、goo goo g’joobは、いい仕事って事だな。じゃあ、この文脈をどう解釈する?

ポールに仕切られて、Magical Mystery Tourに参加したジョン。この企画は彼にとって、Jobにすぎなかったんだろうな。っていうか、この頃のビートルズ自体、ジョンにとっては、本当にやりたいことではなかったのかもしれない。他人にはわからないジョンの内面だけど、彼の心情は、こういった歌詞の中にあらわれている。

あらゆる場面で、個々人から人間性を奪う現代社会、それは、ジョン・レノンだろうが、普通の労働者であろうとそれは変わらない。いつの間にか、自分自身じゃない没個性的存在にさせられている。goo goo g’joobってのは、そんな自分に対する自嘲だよね。このジョンの皮肉な心情にシンパサイズ出来るかどうかが、この曲を楽しめるかどうかのポイントだと思う。ジョンだって、この曲は100年間は通用するって自信満々だったんだよな。

この曲に対して、中山康樹氏は、「時代が変わることによって跳んだ物笑いの種」になったと断じている。

ポールと対極にある詩人ジョンの天才性が遺憾なく発揮されている曲。

Hello Goodbye
★★★★☆


◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1967/10/2,19,20,25,11/2

●公文のCMに使用された。
I am the Walrusを押しのけてA面となり大ヒット(全米、全英ナンバー1)する。
●PVではやけにジョンのはしゃぎっぷりが目立つ。何かあったのかジョン!!(ドラッグ?)


ジョンのウォラスに対しては、ポールはこの曲。このころになると二人の個性が際立つんだよな。邪推すれば、この2行は、ジョンとポールの二人の事か。

You say yes, I say no
You say stop and I say go go go, oh no

君がイエスと言えば 僕はノー
君がやめてと言えば 僕は行け行け行け

ウォラスが近寄りがたい孤高の存在だとすれば、このHello Goodbyeは親しみやすさの極地。ビートルズで最初に歌えるようになったのがこの曲だって人多いんじゃないかな。歌詞が簡単だからね。

でもこの曲ってそれなりに凝ってるんだよな。ビオラとか入っててさ。一度、フェードアウトした後に、フェードインするンチャンチャってのも僕は好きだ。プロモではジョンも楽しそうに演奏しなが、アイドルのパロ仕草してるよね。

ビートルズで最も親しみやすい曲。

Strawberry Fields Forever
★★★★


◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1966/11/29,12/8,9,15,21

●「ストロベリー・フィールズ」というのはリバプールのジョンの生家の近くにあるの孤児院。
●開始ちょうど1分のあたりで、別Takeが強引につなぎあわされている。テンポも音程も異なる2Takeがピッチを上げることによって、ピタッと合ったジョージ・マーチンの職人技が生み出した奇跡の”接続”だ。
●エンディング付近にジョンがI burried Paulとつぶやいているように聞こえる。実際は「Cranberry Sauce」と言っているらしい。
●エンディングはビーチボーイズのペットサウンズのエンディグをパクったと言われている。


ジョン一世一代の名曲。中学の頃、僕の友人O君がノートに彼のベスト10を書いてくれたんだ。1位がLet it beで2位がこの曲だった。その他、YesterdayとかSGTとかIf I fellとか入っていたような。そのページは僕にとってはバイブルみたいなもんだったな。30年くらい前の思い出だがな。僕がこの曲で好きなのは、リンゴのドラムだ。逆回転のシンバルとか最後の電車が遠ざかっていくようなのカッコいいよね。

Living is easy with eyes closed, misunderstanding all you see.
It’s getting hard to be someone but it all works out, it doesn’t matter much to me

目をつぶっていれば生きることはたやすい
見るものすべてを誤解してしまうからね
出世するのは難しくなる一方だ でも どうにかなるものさ

内田久美子さんの訳詩だとgetting hard to be someoneは、出世することは難しいとなっているが、ここは、「何者かになるのは難しい」って訳したほうがいいんじゃないか。

I am he as you are he as you are me And we are all together
僕は彼で君は彼で君は僕で僕らはみんな一緒

ってのはウォラスの冒頭だけど、自分が何者かわからん若者の心理は極論すればこうなる。
これは、Nowhere man(自分が何処に所属しているのかわからない男、自分が何処から来て、何処へ行くのかが不安な男、アイデンティティクライシスに直面する男。)とも通底するジョン独特の危ういアイデンティティだよね。

No one I think is in my tree,
僕と同じ木に登っている人はいないみたいだ。

ジョンは孤独だったんだろな。一見すると傲慢にも思えるが、僕は、ここに逆にジョンの正直さを見るね。誰でもこういう風に思うことあると思う。でも、他の人と違うのは、ジョンはこの事にこだわった、あるいはこだわらざるを得なかった、だからこそ彼は天才なんだ。
さて、この曲はペパーセッションの最初に録音されたってことだけど、ペパーに漂う孤独の香りのコンセプトがこの曲から始まっていたことがわかるよね。

Let me take you down, ‘cos I’m going to Strawberry Fields.
Nothing is real and nothing to get hung about.
Strawberry Fields forever.

一緒においでよ ストロベリーフィールズへ行くんだ
そこでは何もかもが幻 煩わしいものは一つも無い
ストロベリーフィールズよ 永遠に

子供の頃の秘密の場所。誰でも持っているそんな場所。ストロベリーフィールズよ 永遠に。

この時期のジョンの内面がそのまま音化した名曲中の名曲。

Penny Lane
★★★★


◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1966/12/29,30,1967/1/4,5,6,9,10,12,17

●Penny Laneとは、リバプールにある実在の通り。
●ビートルズの曲の中でもっとも多くの日にちをかけた(10日)一曲。


ジョンがStrawberry Fields Foreverだったら、ポールはPenny Lane。どこまでも対照的な二人だ。ピッコロが気持ちいいな~。

この曲で注目なのは次の1行だ。

Full of fish and finger pies in summer
夏にはフィッシュ&フィンガーパイがいっぱいだ

ポールって、こういう青空のように明るい曲の中にも”毒“=イタズラを仕込むんだよな。このfish and finger piesっていうのは、リバプール地方の隠語で、女性器を表すそうだ。
そういえば、All together nowという子供向けの歌の中にもCan I take my friend to bed(友達をベッドに誘ってもいい?)っていうようなおちゃめで、邪悪な1行を入れてるよね。

In Penny Lane there is a fireman with an hourglass and in his pocket is a portrait of the Queen.
He likes to keep his fire engine clean,

ペニーレインには砂時計を放さない消防士がいて女王の肖像をポケットに入れて持ち歩く
消防車はこまめに彼に磨いてもらって いつもピカピカ

ここのkeep his fire engine cleanfire engineっていうのは、ペニスのこと。すなわち、女王の写真をオカズにおちんちんをこすっているって事だよね。
また、こういう解釈も出来る。女王の肖像っていうのはイギリスでは紙幣のことでしょ。てことは、いつもソープに行けるように金を持って、おちんちんを磨いているってこと。まぁ邪推だけどね。

ポールの、メロディメーカーとしての天才性、生まれつきの楽天性、遊び心等が全て詰まった曲。

Baby You’re A Richman
★★☆☆☆


◆(Lennon=Maccartney) V=John,Paul 収録日=1967/5/11

●ジョージがサンフランシスコのヒッピーを見学に行ったとき、何故かこの歌をうたった。
●ビートルズ不人気曲ランキングではいつも上位にくる。
●コーラスにミックジャガーが参加している。その声がエンディング近くで確認できる。


long,long,longRevolution9とならんで、最も人気の無いビートルズソングの一つ。

How does it feel to be One of the beautiful people?
Now that you know who you are What do you want to be?
And have you travelled very far? Far as the eye can see.

優雅な人々の一員になった感想は?
自分のアイデンティティを得た今 次は何になるつもりだい?
ずっと遠くまで旅をしてきたのかい 目の届く限りのところを?

ここでのyouは誰を指すのだろうか。1)エプスタイン、2)ビートルズ自身。

ジョンのエプスタインへのちょっとしたジョークは、例えば、And your bird singとかでも見られる(解釈出来る)よね。彼が死んだ後のヘイ・ジュードもジョンにかかれば、ゲイ・ジュール「おかまのユダヤ人♪」だもんな。

How often have you been there?
Often enough to know

あそこへはしょっちゅう行くのかい
いろんなことがわかるようになるくらい頻繁に?

これは、ドラッグをやった時の幻想の世界のことだろうな。僕はそう思う。

さて、2)の方の解釈だが、これはジョン得意の自嘲路線。ポイントはzoo動物園)だよね。常に他人に見られる存在、それこそ、ビートルズの身の上だ。実はこのzooは後にジョージがOld brown shoeの中で自分たちがいた場所として歌っていることもお忘れなく。また、RainのPVは、zooの中のビートルズが、檻(門)の外のファンたちを見ている状況とも解釈できる。

メロディへのこだわりよりも、ジョンの皮肉=悪意が全面的に出ている曲。

All You Need Is Love ★★★★★


◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1967/6/14,19,23,24,25

●1967年6月にBBCの「アワ・ワールド」で世界同時生中継で演奏された。
●サッポロブロイのCMで使用。
●NTTドコモのCMでカヴァーバージョンが使用される(2008年)。
●フランス国歌ではじまり、曲中に「インザムード」「イエスタディ」等の一部がからんでくる。


愛こそはすべてって言われているけど、愛さえあればっていう風に訳したほうがいいかも。ジョンは歌う。無理だ無理だ無理だ、出来ない出来ない出来ない、でも愛があれば何もいらないってね。

現実っていうのは常に上手くいくとは限らない。やっと買ったと思ったマンションが出来損ない立ったり、毎日何気なく乗った電車が脱線したり、その不意の唐突さこそ現実である。誰のせいにしてもしかたがない。その現実は最終的に自分で受け止めるしかない。でもそれを受け止めるためには意志の強さが必要だ。そして、その意志の強さを持つためには思想が必要だ。ジョン曰くその思想がだ。

最近になって評価がグングン上がっている、いろんな意味で不思議な曲。

2件のコメント

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